決算説明会の内容を公開するメリット

本稿は「2000字縛り!ゆる会計アドベントカレンダー2025」の18日目のエントリーです。

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注意:本稿は2000文字という字数制限のため、大胆な記載が多くなっています。記載内容の粒度や真偽に十分に注意してください。

コロナ渦を契機とする決算説明会のオンライン化をはじめ、その内容が一般投資家にも公開されるなどIR戦略に大きな変化が起きています。

そもそも決算説明会というのは、企業が銀行や証券会社のアナリストに向けて業績を説明する場所でした。そのため、個人の投資家は基本的に参加できません。

ですが、最近は決算説明会の内容を動画や書き起こしでインターネット上に公開する企業が増えています。

しかし、会社にとっては決算説明会の内容を公開することは手間です。

動画で公開する場合は編集作業が必要になりますし、C-Hotlineのような専用プラットフォームで動画を公開する場合は当然手数料がかかります。

文字起こしをつくるにしても、時間がかかります。最近はSCRIPTS Asiaのような会社に説明会の書き起こしを依頼する企業も見かけます。

では、企業はなぜ手間やお金をかけてまでも決算説明会の内容を公開するのでしょうか。今回は、財務会計の研究領域から簡単に解説しようと思います。

なぜ企業は開示をするのか?

企業は、法定開示と任意開示の2種類の開示を行っています。法定開示とは、有価証券報告書など法令により公開が義務づけられた開示の種類です。

一方、任意開示とは法令などで開示が強制されていないにもかかわらず企業が自主的に行う開示を指します。

任意開示には、決算短信、決算説明会のプレゼンテーション資料、決算説明会の動画や書き起し、統合報告書などが含まれます。

決算短信は取引所の規則により公開が必要となっていますが、任意開示に含まれます。)

任意開示を行わなくても法令上は問題ないですが、なぜ多くの企業は自主的に情報を公開しているのでしょうか。

それは、開示によって投資家間の情報の非対称性が減少し、企業の資本コストが減少するからです。

投資は、仕事として行っている人から趣味で1株を持っている人まで様々です。

プロの投資家とアマチュアの投資家との間には、持っている情報の量・質で大きな差があります。この差を情報の非対称性といいます。

企業が開示を増やすことで、投資家間の情報の非対称性が減少するといわれています。

そして、その結果として企業の資本コストも減少するといわれています。

(情報の非対称性が減少するとなぜ資本コストが減少するかという説明については、複雑なので割愛します)

そのため、企業は開示を行うことで自社の資本コストを減らすことができるのです。

決算説明会の公開は投資家間の情報の非対称性を減少させる?

日本の企業が決算説明会の内容を公開すると、本当に投資家間の情報の非対称性が減少するのでしょうか?

まず、投資家間の情報の非対称性を測定する必要があります。この非対称性は、直接観測することができません。

そのため、多くの研究ではビッドアスクスプレッドや株式売買回転率という指標を用いています。

これらの指標が投資家間の情報の非対称性と関連しているため、代理的にそれらを変数として用いています。

ここでは、最近の日本の研究を紹介します。

研究紹介

張瀟月・金奕群(2021)「決算説明会における質疑応答内容の開示と情報の非対称性との関係」証券アナリストジャーナル

この研究ではJPX400構成企業を対象として、決算説明会の質疑応答内容を公開することが投資家間の情報の非対称性にどのような影響を与えているかを調べています。

この研究では、ビッドアスクスプレッドと株式売買回転率を情報の非対称性の代理指標として扱っています。

回帰分析の結果、決算説明会の質疑応答内容を公開している企業では、投資家間の情報の非対称性が減少していることがわかりました。

真鍋友則・黒木裕鷹・指田晋吾・中川 慧(2022)「決算説明会に関する情報開示の効果検証」人工知能学会第二種研究会資料

この研究では、ログミーファイナンスという決算説明会の文字起こしサービスを利用している会社について、投資家間の情報の非対称性が減少しているかを出来高を用いて検証しています。

結果として、決算説明会の文字起こしをログミーファイナンスで公開することで、出来高が上昇する(情報の非対称性が減少する)ということを示しています。

 

このように、昨今の研究では決算説明会の内容(文字起こしや質疑応答)を開示することで、投資家間の情報の非対称性が減少することが報告されています。

手間やお金をかけて決算説明会の内容を少しでも広く、一般投資家に知ってもらおうとしている企業の努力は無駄ではないといえるでしょう。

イマーシブ・フォートの雑感【ザ・シャーロック】

よく名前を聞く「イマーシブ・フォート東京」に行ってきたので、良かった点と惜しい点を書き記します。

総評

イマーシブという体験は非常に面白いが、作り込みができていないところがある。そもそも全体のストーリーを初回で掴むことができず、「もう一度観て考察したい」という動機(=運営側の狙い)がでてこない。

イマーシブシアターとは

通常の観劇とは異なり、舞台のなかを歩き回りキャストの演技をすぐ傍で見ることができます。

Q. 普通の演劇とは何が違うのですか?
A. 普通の演劇は、客席と舞台が分かれているのに対して、「ザ・シャーロック」は、舞台の中を自由に探索できる体験になっております。様々な場所で同時多発的に物事が起こっていくため、ご一緒に行かれた方と目にした場面が違う、なんていうことも。体験後に話し合うのも、楽しみのひとつです。【体験型演劇】ザ・シャーロック丨イマーシブ・フォート東京

5つほど演目がありますが、私は「ザ・シャーロック」を体験しました。

あくまでこの体験にフォーカスして、書いていきます。

良かった点

  • キャストの演技を超至近距離で見ることができるので、通常の舞台でみられる「第四の壁」を感じにくい。
    • 全方位から、キャストの演技を間近で見られる。キャストから観客は見えていない想定なので、動線の上にいるとキャストがすごい勢いでこっちにくることがある。
    • キャストは恐らく、舞台俳優さん。声の出し方や表情の作り方を近くで見ることができ、勉強になる。
  • シアター内での私語は厳禁のため、思考に集中できる。
    • 「誰が怪しいか」「次はどこで何が起きるか」などをじっくり考えることができる。
  • ドラマだとカメラが回らないようなところにいるキャストの演技を見ることができる。
    • 例えば、ドラマでは殺人事件があったときにカメラは遺体や第一発見者を写すが、ここではフレーム外で怪しい動作をしている登場人物にも注目できる。それが伏線かもしれない。
  • 全く重要でないような登場人物を追跡することで、考察を深めることができる。
    • 誰も追っていないような登場人物の後をついていくと、その人は突然被害者が残した手紙を発見する。当然その人物はとても驚くのだが、そのシーンを目撃していたのが私ともう1人の観客だけ。そのシーンを独占できたという優越感を得られた。
  • 参加者は鼻と口をバンダナで隠すことで、登場人物からは見えない「アノニマス」となる。だが、うっかりバンダナを外してしまうとその世界の住人になり、キャストから話しかけられる。その体験をしたい人にはいいのかも。(キャストから話しかけられた時のみ、喋って良い)

惜しかった点

  • どのコースを選べばいいかわからない。
    • 公演が始まる前に、どの登場人物の視点で物語を楽しみたいか5択から選ぶ(それぞれ視点ごとに「調査メモ」が用意されており、追いたい視点を一つ選ぶ)。だが、初見でどの視点を選べばいいかわからない。
    • 私は全体のストーリー(大筋)を追いたかったが、どの視点が物語を俯瞰できるのかがわからなかった。それっぽい視点を選んだ結果、その人が序盤で死んでしまった。
    • 後々分かったが私の選んだ視点はかなりマニアックなもので、初見だと何が起きてるのかわからない。そして、当然ストーリーも追えていない。
  • 時間がわからない
    • それぞれの調査メモには「開始〇〇分ごろに△△の場所で出来事を見よう」と書かれているが、その時間が劇場内ではわからない。
    • 私はApple Watchをしていたが、スマートウォッチはカバンの中にしまうよう指示されるので、時間を確認することができない。
  • 施設の作り込みが甘い。
    • イギリス市街を舞台としているが、明らかに手を抜いているところがある。
    • 例えば、裁判所の法廷はまるで地下のライブハウスのよう。四方が黒い壁で、プロジェクターと照明が剥き出しで設置されている。USJやディズニーではあり得ない世界観の作り込み。
  • 音響の監修が甘い。
    • キャストが地声で話すシーンなのにBGMが大きすぎてよく聞こえないことがあった。
    • マイクを使うシーンもあるが、単純にマイク音量が大きくてうるさいシーンもあった。
    • 登場人物の心情上仕方がないが、小声でボソボソ喋っているシーンはマイクがあっても単純に聞こえない。
    • 音が大きく反響する場所もあり、マイクで複数人が喋っているともう誰が何を言っているか全然わからない。
  • トイレが少ない
    • 休憩の15分でトイレに行くよう案内されるが、数が少ない。結果、多くの人が待っていた。
    • 公演の途中でもトイレに行けるが、どこにトイレがあるかが地図(調査メモ)に書かれていない。係の人に聞こうと思っていても、どこにいるのか分からない。

マーケティングの工夫

さすが刀、マーケティングがしっかりできています。

体験後にパネルのQRコードを読み込むと、公演終了から60分間限定で使える1,000円OFFのクーポンが発行されました。

また、物語のストーリーや人物相関図も写真で送られてきます。

 

この演目では、たとえグループで来場していたとしても、それぞれ別の視点を選ぶようお勧めされます。

それぞれが全く異なる体験をして、公演後にみんなで考察し合うという楽しみ方を想定しています。

公演後には無料のドリンクを貰うことができ、目の前に椅子と机が並んでいます。

まさに、ドリンクを飲みながらお互いの体験を話し合う、そして次回のチケットを買うという導線が設定されているのです。

 

最後に

イマーシブシアターは初めてでしたが、時間を忘れられるような濃い時間を過ごすことができました。この演目を選ぶかどうかは別として、機会があればもう一度イマーシブな体験をしてみたいと思いました。

無形資産はどのように研究されてきたか?

みなさんこんにちは。

このたび、@blanknote さんが主催する会計系 Advent Calendar 2024 に参加させていただくことができました。

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そうそうたる会計の猛者が名を連ねているなかで大変恐縮です。

今回は、アカデミックな観点から文章を書こうと思います。

私は大学院でアニメビジネスの研究をしており、ここ最近はアニメコンテンツの資産としての価値について検討することが多かったです。

アニメコンテンツは形のない資産、つまりは無形資産です。

(会計上は棚卸資産として計上されるので、財務諸表上は有形か無形かが分かりにくいですが)

今回は、無形資産についてこれまでどのような研究が行われたかを見ていきましょう。

この文章を読んでいる人は少なからず会計に興味がある人かと思いますので、会計の基本的な知識があることを前提としています。

(色々記憶を頼りに書いている部分もありますので、正確な情報を知りたいときは原著をご確認ください。)

無形資産の研究の焦点

無形資産のこれまでの研究では、費用として計上される支出が資産としての性質をもつのではないかという点が盛んに議論されてきました。

資産の性質とは、「将来の収益獲得に貢献するか」というものです。会計の用語でいうと、経済的資源ですね。

現行の日本の会計基準では、研究開発費や広告宣伝費は費用計上することになっています。

しかし、こうした支出は将来の収益獲得に貢献する可能性があります。

研究開発の末に製造した商品で将来の売上を獲得することができます。また広告や宣伝のおかげで広い消費者にリーチでき、将来売上が伸びることもあるでしょう。

将来の収益獲得に貢献するならば、資産計上するのが妥当ではないのでしょうか。

現状はこれらの支出に不確実性が存在する(すべての支出が100%将来の収益獲得に貢献するとは限らない)ため、保守主義の観点から費用計上が行われています。

一方、将来の収益に貢献するものであるにもかかわらず当期に一括で費用計上してしまうと、費用収益対応の原則に沿っていないことになります。

また、これらの支出が無形資産として財務諸表に計上されないことから、企業価値と簿価に乖離が生じています。

もし無形資産が正しく財務諸表に計上されていれば、財務諸表上の簿価と企業価値は等しくなり、株価純資産倍率 (Price-to-Book ratio; P/B ratio)は1になるでしょう。

(これは極論かもしれませんが、無形資産研究の世界ではよくP/B ratioが引き合いに出されます。)

ですが、例えばコカ・コーラ社のP/B ratioは10.9であり、ブランドという無形資産が財務諸表から欠落しています(Penman, 2023)。

無形資産が財務諸表上に計上されていないため、投資家がその価値を認識できず問題視されています。

費用は資産としての性質を持つか?

研究開発費

研究開発費が資産としての性質を持ち、将来にわたって収益獲得に貢献しているかという研究は、Lev and Sougiannis (1996)が代表的です。

この研究では1975年から1991年までのR&Dが重点的な上場企業(アメリカ)をサンプルとし、研究開発費を資産計上したときに将来の営業利益と関係があるかという研究を行いました。

研究開発費を資産計上するとき、単に支出を足し上げていくだけではいけません。それぞれの年の積み上げた研究開発費(資産)について減価償却を行う必要があるからです。

減価償却を行うために、償却率と償却期間を推定します。償却率の計算では、R&Dを積み上げた資産に対して、当期のR&D支出がどれほど貢献しているかという比率を利用しています。

ただ、この研究で使われている手法の説明がすごく難しい。計量経済学という統計の領域で、複雑な推定をいくつも行っています。

(論文ではいくつも式が出てきますが、一番基本的なモデルは以下の通りです。理解しなくて大丈夫です。)

回帰式の説明

結果だけ要約すると、R&D を資産計上した場合、その資産と将来の営業利益に正の関連があることが分かりました。(つまり、価値関連性が認められたということです。)

同様の研究でも、研究開発費の資産としての性質が実証的に確かめられています。

広告宣伝費

Hirschey and Weygandt (1985)は、広告宣伝費を費用処理するのではなく、資産として計上し、一定期間にわたって償却すべきかどうかを検証しました。

具体的には、広告宣伝費がQレシオという指標に影響を与えているかを分析しています。

Qレシオとは、企業価値を有形資産の再調達原価で割ったものです。要は、企業価値と有形資産の比を表しています。

もしこの比が1:1ならば、企業価値は有形資産の100%反映していることになります。

しかし、もし企業価値>有形資産の場合は、企業価値と有形資産の差に何かが含まれていることになります。

その何かが、無形資産(ここでいう広告宣伝費)を指しているのではないかと考えているのです。

この論文では広告宣伝費だけでなく研究開発費も併せて、無形資産として差に含まれているのではないかと議論しています。

1977年のFortune 500のうち、390企業をサンプルとして先ほどのような統計的な分析を行いました。

その結果、広告宣伝費(正確には広告集中度; advertising intensity)とQレシオには正の関連性があるという結果が出ました。

他にも追加的な分析が行われ、結果的に広告宣伝費は無形資産としての性質をもっており、資産計上して減価償却を行うべきであると結論づけています。

販売管理費

Banker et al. (2011)も、Lev and Sougiannis (1996)と同様に販管費を資産計上したときに、収益との関係性を検証しています。

この研究がLev and Sougiannis (1996)に沿っているということもあり、償却率と償却期間についても推定を行いました。

分析の結果、販管費を資産計上したとき、将来の利益と正の相関があることが分かりました。

償却の期間については業界ごとに推定値が異なり、アパレル業界や電気・電子機器業界については3年ほど、ドラッグストア業界やエンタメ業界、ヘルスケア業界などについては5年ほど販管費の効果が持続することが分かりました。

(論文では34もの業界について償却すべき期間を推定しています。)

販管費についても研究開発費や広告宣伝費と同じく、資産計上して毎年償却するべきであるという結果が出ています。

では、会計基準は変わるのか?

以上のような先行研究をもってしても、これらの費用を資産計上する日は当分の間来ないでしょう。

どうしても不確実性が含まれているため、保守主義の現行下では資産計上することはないでしょう。

しかし、これまでの研究のようにこうした支出は将来の収益とも関係性があることから、その価値は投資家に知られるべきという意見が出ています。

そのひとつの方法が、任意の開示です。

別に財務諸表上に無形資産が計上されていなくても、企業が統合報告書などで開示をすればよいのです。

投資家は任意開示から無形資産の価値を判断し、投資判断を行うことができます。

実際、無形資産の開示というテーマでは、知的資本(Intellectual capital)について開示を行うことによる効果が多く研究されています。

知的資本とは、情報、知的財産、知識、技術、顧客関係といったものを指します。

どれも他社による複製や代替が難しいものです。

これらを開示することにより、株価にどのような影響がでるのかといった研究が行われています。

また、昨今はサステナビリティの支出についても無形資産として扱うことができるのではないかという意見がでてきています。

 

いずれにせよ、無形資産の研究は転換期を迎えているといえるでしょう。

無形資産の計上について会計基準を変更するよう求める数々の研究の不協和音を繰り返すよりも、研究者が焦点を当てるべき真の問題は、現在の状況に基づくものでなければならない。(Hussinki et al., 2024)

正直私も、これからどれだけ研究が進んだところで研究開発費や広告宣伝費、販管費が資産計上される未来は見えないです。

その他の財務諸表に計上されない支出についても、任意の開示でカバーするほうが早いのではと感じるところです。

IFRSでは研究開発費の「開発」部分については資産計上が強制規定となっていますが、それでも「研究」の部分は費用処理していますし)

任意開示は会社によって開示する項目が全く異なるので、研究者としては他企業間・時系列間での比較が難しいです。

ですが、そんなことは一般の投資家の人からしてみれば関係なく、とにかくより多くの情報を開示した方が投資判断に役立つわけです。

というわけで、ぜひ多くの企業には財務諸表上に乗らない無形資産についても積極的に開示してもらいたいなと思います。

参考文献

Banker, R. D., Huang, R., & Natarajan, R. (2011). Equity Incentives and Long-Term Value Created by SG&A Expenditure*. Contemporary Accounting Research, 28(3), 794–830. https://doi.org/10.1111/j.1911-3846.2011.01066.x

Hirschey, M., & Weygandt, J. J. (1985). Amortization policy for advertising and research and development expenditures. Journal of Accounting Research, 23(1), 326. https://doi.org/10.2307/2490921

Hussinki, H., King, T., Dumay, J., & Steinhöfel, E. (2024). Accounting for intangibles: a critical review. Journal of Accounting Literature. https://doi.org/10.1108/jal-05-2022-0060

Lev, B., & Sougiannis, T. (1996). The capitalization, amortization, and value-relevance of R&D. Journal of Accounting and Economics, 21(1), 107–138. https://doi.org/10.1016/0165-4101(95)00410-6

Penman, S. (2023). Accounting for intangible Assets: Thinking it through. Australian Accounting Review, 33(1), 5–13. https://doi.org/10.1111/auar.12394

【SONY】アニメ事業の2023年3月期決算を読む。

2023年6月20日ソニーグループの有価証券報告書が公表されました。

有価証券報告書とは、金商法で公表が求められている上場企業の詳しい決算資料です。

上場企業の決算情報はまず「決算短信」で一報が報じられ、次に経営陣が決算説明会でその内容について説明します。

それから数か月後、最終の決算資料として発表されるのが有価証券報告書です。

この報告書は監査法人のチェックの対象となるため、公開が一番最後になります。

ソニーグループの有価証券報告書は257ページにもわたります。

この記事では、ソニーグループにおける今年度のアニメ事業について、有価証券報告書から紐解いていきたいと思います。

0. ソニーのアニメ事業を語るうえで基本的なこと

ソニーのアニメ事業としてよく聞く言葉は「アニプレックス」や「クランチロール」ではないでしょうか。

これらの事業のグループ内の位置づけについて整理しましょう。

ソニーグループのアニメ事業(クランチロール買収時)
※2022年2月にFunimationは社名をCrunchyroll, LLCに変更

注目したいのは、アニプレックスは音楽分野、クランチロールは映画分野に属しているということです。

1.アニプレックスの違約金はあったのか?音楽分野を見てみよう

ソニーグループでは、音楽分野を以下の事業区分に分類しています。(P.7)

  • 音楽制作:パッケージ及びデジタルの音楽制作物の販売,アーティストのライブパフォーマンスからの収入
  • 音楽出版:楽曲の詞、曲の管理及びライセンス
  • 映像メディア・プラットフォーム:アニメーション作品及びゲームアプリケーションの制作・販売,音楽・映像関連商品のサービス提供

また、音楽分野の主要会社として㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントを認識しています。

このことから、アニプレックスは「映像メディア・プラットフォーム」に属していると判断できます。

(ちなみに、映像メディア・プラットフォームの利益貢献は、音楽分野の営業利益の1割台半ば程度だそうです。

では、今年度の「映像メディア・プラットフォーム」の業績を見てみましょう。

音楽分野の主要経営数値 - P.42

2021年度が2,314億円だったのに対し、2022年度は2,030億円と前年度から284億円も売上が減少しています。

また、有価証券報告書にも「アニメ事業の収入減少による映像メディア・プラットフォームの減収があった」と記載されています。

さて、アニメ事業の売上が減少したとわかりますが、はたして違約金はあったのでしょうか?

というのも、今年度はアニプレックス作品の放送・配信が延期されたことから、「違約金が発生した」という噂が流れています。

この資料からは、少なくとも「アニメ事業の売上減少は違約金とは一切関係ない」とわかります。

なぜなら、違約金は発生したとしても「売上」自体は変わらないからです。

売上は「お客さんに商品・サービスを販売して入ってきたお金」を指します。

仮に違約金が発生したとしても、「お客さんに商品・サービスを買ってもらった金額」自体は変わりません。

もし売上に変化がないのにアニメ事業が赤字になった場合は違約金を疑ってもいいでしょう。

ですが、会計的に考えても「売上減少と違約金は無関係」なのです。

では違約金があったかどうかはどのようにしてわかるのでしょうか?

それは、7月頃に発表される「決算公告」がヒントになるかもしれません。

すべての株式会社は会社法により一部の財務情報を公開することが義務付けられています。

アニプレックスの場合、2021年度は資産・負債の情報に加え、売上・利益の情報も公開されました。

これらの情報を今年度の決算公告と比較することで、何かがわかるかもしれません。

2. クランチロールの買収が与えた影響は?

さて、クランチロールが属する映画分野の業績はどうなっているのでしょうか?

まず、ソニーグループでは映画分野を以下の事業区分に分類しています。(P.7)

  • 映画製作:映画作品の製作・買付・配給・販売
  • テレビ番組制作:テレビ番組の制作・買付・販売
  • メディアネットワーク:テレビネットワーク、DTC(Direct-toConsumer)配信サービスのオペレーション

今年度の映画分野の業績をまとめると、以下のようになります。(P.43)

  • 米ドルベースでは前年度より8%の減収
    • 原因①:大型の映画作品が貢献した前年度に比べて、当年度の劇場興行収入が減少したこと。→反動減
    • 原因②:テレビ番組制作において、前年度に「サインフェルド」のライセンス収入があったこと。→反動減
    • 原因③:前年度は動画配信サービスへライセンスした新作映画の作品数が多かったこと。→反動減
  • 一方で、以下の増収要因と相殺されている
    • 要因①:テレビ番組制作における作品の納入数の増加
    • 要因②:米テレビ制作会社を複数買収したこと
    • 要因③:Crunchyrollの買収の影響を含むアニメ専門DTCサービスにおける増収

つまり、「前年度にヒットした作品が多かった分今年度は売上が少なくなったが、Crunchyrollが売上に貢献したことなどにより、ダメージは少なくなった」と言い換えることがいえるでしょう。

現に、クランチロールが属する「メディアネットワーク」は前年度から665億円も売上が増加しています。

映画分野の主要経営数値 - P43

3. クランチロールの買収経緯

2021年8月9日、ソニーの完全子会社であるSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)は、Funimation Global Group, LLC(以下「Funimation」)を通じて、AT&T Inc.の子会社でアニメ事業「Crunchyroll」を運営する Ellation Holdings, Inc.(以下「Ellation」)の持分の100%を取得しました。Funimationは、SPEと株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント傘下の株式会社アニプレックスとの合弁会社です。本取得の対価135,938百万円(1,237百万米ドル)は、現金により支払われました。本取得の結果、Ellationはソニーの完全子会社となりました。2022年2月24日、Funimationは社名をCrunchyroll, LLCに変更しました。

- P.230

ソニーグループは、ファニメーションを通じてクランチロールの運営会社を買収しました。

100%の株式を取得し、クランチロールの運営会社はソニーグループの完全子会社となりました。

また買収に際して、700億円以上のコンテンツ資産・その他の無形資産を計上しています。 

コンテンツ資産・その他の無形資産には主にライセンス契約や顧客関係が含まれており、ソニーはこれらも取得したことになります。

映画分野に計上されたEllationの資産・負債の公正価値 - P.230

ちなみにソニーは、国際協力銀行の協調融資制度を活用し、クランチロールの買収資金の補填を目的として、複数の銀行から1500億円以上もの長期借入を行っています(流動性確保のため。約1,175百万米ドル相当)。(P.196)

 

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アニメの制作サイドはもちろん、メーカープロデューサー、宣伝、ライセンス、グッズなど製作側の仕事まで解説している良書です。

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4. これからのソニーのアニメ事業

さて、今後のソニーのアニメ事業戦略はどのようなものなのでしょうか?

  • クリエイターへの還元
    • 音楽、映画、ゲーム、アニメなどの領域でのクリエイティブの強化のために、クリエイターに近づき、(中略)『感動』を創る力への投資を実行。(P.14)
    • アニメに特化したDirect-to-Consumerサービス『Crunchyroll』は、視聴データをクリエイターに還元。 (P.15)
  • 自社で多くの地域・ユーザーにリーチする
    • アニメ、ゲーム、インドなど、コミュニティが生まれる特定の領域においては自社で『感動』を届け、ユーザーから学び、クリエイションに活用。(P.15)
    • Funimation及びCrunchyrollの二つのアニメ配信ブランドを連携させることで、ファンを重視したサービスをより広く提供することが可能となりました。(P.230)
  • 二次利用の強化
    • マーチャンダイジングや海外販売の拡大及び制作力強化によるアニメ事業の成長(P.42)
    • Crunchyrollは、2022年度には、アニメグッズの販売会社Right Stuf, Inc.の買収を通じてファン向けのeコマースサービスを強化しました。(P.43)
  • 異なる分野間(音楽分野と映画分野)の連携

実質アニメ業界一位のソニーグループ、某業界人はアニプレックスを「天界に住む人々」と表現したほどです。

今後もソニーのアニメ事業の成長に期待したいです。

kaz-foc.hatenablog.jp

2022春アニメの製作委員会を考察する。

今期も深夜アニメの製作委員会を考察していきます。

これまでと同様に、dアニメストアでアニメストアで配信されている深夜アニメを対象としています。

かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-

これまでと変わらないメンバーです。JR東日本企画は広告代理店です。

 

まちカドまぞく 2丁目

ポニキャンが幹事の場合、製作協力に委員会メンバーの名前が挙がることが多いですが、今回は直接製作としてクレジットされました。むしろ、製作協力のほうが謎でした。

 

ヒーラー・ガール

音楽系ということで、バンナムライブ・ビューイング・ジャパンが得意としている分野です。以前にもこの組み合わせがありました。

 

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第3期

アニメメーカーはハピネットが務めているのでしょうか。今期からハピネットが本格的にアニメ製作に参入してきました。

 

群青のファンファーレ

アニプレックスのオリジナル作品です。博報堂の本体が出資しているのは珍しいですね。報知新聞は、競馬などスポーツで有名なスポーツ報知を出しています。アニメをどのように生かすのでしょうか。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会TVアニメ2期

お、、バンダイナムコ系の会社名が新しくなりましたね。実質的なメンバーは変わっていません。

 

ビルディバイド -#FFFFFF-

アニプレックスのカードゲームをアニメ化したものです。日本のトレーディングカードゲームは実は海外(特に北米圏)でも人気です。

 

社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。

ハピネットの幹事作品です。ちなみに、ポニーキャニオンの担当が大熊一成さんになっています。これまでは古川陽子さんがクレジットされることが多かったですが、2021年6月に組織改編が行われ、ミュージック、アニメ、ビジュアルクリエイティブ本部責任者として大熊さんが昇任しました。読売新聞が入っているのが意外。

 

トモダチゲーム

Crunchyrollの末平アサさんという方はクレジットで初めてお見掛けしました。

 

BIRDIE WING -Golf Girls' Story-

BN Picturesが深夜アニメをつくるのは珍しいですね。2社のみの委員会組成ですが、この作品のターゲットは誰なんでしょう。

 

RPG不動産

まんがタイムきらら系の製作委員会メンバーとなりました。

 

史上最強の大魔王、村人Aに転生する

角川原作のアニメということで、KADOKAWAとつながりの深い会社が多いですね。

 

 

盾の勇者の成り上がり Season2

NTTぷららは「ひかりTV」の配信事業者です。本作品はdアニメストアひかりTVで先行配信されるそう。フロンティアワークスは原作企画です。

 

処刑少女の生きる道

GA文庫系ということで、ワーナーとSBクリエイティブの組み合わせとなっています。

 

であいもん

フライングドッグが幹事にくるのはめずらしいですね。京都のアニメということで、KBS京都が入っています。関東の方は馴染みがないかもしれませんが、KBS京都はかなり多くの深夜アニメを地上波で放送しており、個人的には関西の深夜アニメはMBSKBS京都、という感覚です。

 

Shenmue the Animation

セガ原作ということで、両方ともセガのグループです。

 

パリピ孔明

宣伝含め対外的なプロモーションはエイベックスが積極的に行っていますが、幹事はDMMでしたか。

 

骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中

たまに原作保有のオーバーラップが幹事にくることがあります。

 

ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜

「ヒロインたるもの!」はハニーワークスの曲の一つですが、これが一つのアニメになりました。ハニーワークス内の高校生アイドルLIP×LIPのマネージャーを同級生の女の子が務めており、この曲は彼女をモチーフにしたものでした。アニメ化され、LIP×LIPのイケメンアイドルが女性ファンを多くつかむことができたのではないのでしょうか。にしても、幹事(?)の玉越ってパチンコ屋なんですね。ほかにアニメにも出資しているそう。

 

キングダム 第4シリーズ

「製作著作:NHK」が出てこない珍しいNHK番組。

 

可愛いだけじゃない式守さん

秋葉原に行く人はわかるかと思いますが、かなりの宣伝費をかけて式守さんのPRをしています。ユニバーサルとKADOKAWAの資金力といったところでしょうか。

 

魔法使い黎明期

TBSが幹事にくるのはめずらしいですね。

 

阿波連さんははかれない
  • bilibili

まさかの、、bilibili単独製作!中国系の資金力!!

 

デート・ア・ライブ

かなり長くつづくKADOKAWA原作のシリーズですね。

 

勇者、辞めます

テンセントが第2位に来ています。中国での配信権を握ってそうです。

 

SPY×FAMILY

おそらく今期人気1位の作品。委員会メンバーも最強ですね。

 

    
くノ一ツバキの胸の内

中外鉱業グッドスマイルカンパニーでフィギュア・グッズ製作に力を入れていそうですね。

 

カッコウの許嫁

最低限のメンバー組成ですが、しっかりと人気を取っています。

 

    
マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 Final SEASON –浅き夢の暁-

もともとf4samuraiがゲームを作っており、芳文社がコミカライズを出しています。

 

このヒーラー、めんどくさい

近年KADOKAWAとCrunchyrollの結びつきを異様に感じますね。

 
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です

KADOKAWA、bilibili、マイクロマガジン色が強いですね。

 

今期の注目ポイント

ハピネットがアニメ製作に本格参入

ハピネットはもともと映画の製作・配給を行っていましたが、そのコンテンツ企画ノウハウを生かしアニメ製作にも本腰をいれました。ハピネットが子会社の映像メーカーを統合し、株式会社ハピネットファントム・スタジオができました。今年、すでに4作品の製作委員会幹事が決定しています。

 

ついにきたbilibili

阿波連さんははかれない、製作著作の欄「bilibili」を見た瞬間かなり驚きました。中国系企業の単独製作です。近年急激に日本アニメに出資をしており、一通りのノウハウは吸収できたというところでしょうか。

 

 

というわけで今回も製作委員会を調査しました。各社の関係性を見やすくするためにも、データベース化しようかな、、、

 

 

2022冬アニメの製作委員会を考察する。

冬アニメも終盤に入りかけていますが、今期も深夜アニメの製作委員会を考察していきます。

これまでと同様に、dアニメストアでアニメストアで配信されている深夜アニメを対象としています。

 

進撃の巨人 The Final Season

このFinal  Seasonから、制作がWIT STUDIOからMAPPAに変わりました。以前からWIT STUDIOの親会社であるProduction I.G.は制作協力として名を連ねていました。さらに、この作品は現在NHKで放送されていますが、第二期は毎日放送で放映されていたため、MBSも委員会に入っています。

 

TRIBE NINE(トライブナイン)

アカツキのメディアミックスプロジェクトです。音楽制作はランティスということもありバンダイナムコアーツが入っています。また、dアニメストアでは地上波同時の最速配信が行われています。

 

最遊記RELOAD -ZEROIN-

長く続くアニメシリーズということもあり、メンバーもかなり変わっています。フロンティアワークスが幹事になったのは2007年のOVAの頃から。また、前作までは電通が名を連ねていましたが、今回は博報堂MAPが入っています。ぴえろは過去にアニメーション制作をしていた頃からのお付き合いでしょうか。

 

ヴァニタスの手記

第1クールから変更はありません。スクエニ原作のアニメです。

 

幻想三國誌 天元霊心記
  • 劉信(USERJOY Technology)
  • 孫守頣(USERJOY Technology)
  • 葉信雄(USERJOY Japan)
  • 李旎(bilibili)
  • 詹明宪(bilibili)
  • Joe Teng(NADA Holdings)
  • 小佐野保(ギークピクチュアズ)

原作はUSERJOYという台湾のゲーム会社が開発した作品です。bilibiliも製作に入っており、中国が日本でのヒットを見越して製作したアニメと言えます。アニメーション制作はギークピクチュアズです。

 

賢者の弟子を名乗る賢者
  • 田中翔KADOKAWA
  • Colin Decker(Funimation)
  • 関戸公人(マイクロマガジン)
  • 作野賢一郎(studio A-CAT)
  • 武内文太(マイクロハウス)
  • 志倉千代丸(MAGES.)
  • 岩野貢(MAGNET)

原作のなろう小説がマイクロマガジンによって出版されました。マイクロハウスはマイクロマガジンの関連会社となっています。

 

時光代理人 -LINK CLICK-

bilibiliのアニメをソニーグループが輸入して日本版製作を行なっています。魔道祖師や天官賜福と同じ流れです。

 

リアデイルの大地にて

KADOKAWA原作ということもあり、同社アニメ事業局の田中さんとエンタテインメントノベル局の万木さんが製作に入っています。Simplicityは主に音響制作を行なっているそうです。

 

殺し愛

こちらもKADOKAWAのコミック原作ということで、同社アニメ事業局の田中さんと出版事業グループコミック第2統括部の池上さんが名を連ねています。

 

失格紋の最強賢者

GA文庫原作です。スクエニがコミック連載しています。グッドスマイルフィルムは、プロデュース会社として参加しています。

 

ハコヅメ~交番女子の逆襲~

注目すべきは、日本テレビが入っている点です。同社では2020年にアニメ事業部が創設され、本格的にアニメ製作が始まりました。ちなみにBS日本は以前から製作に参加していました。

 

平家物語

古典が原作という珍しい作品です。中国でも人気が出そうだからbilibiliも入っているのでしょうか。サイエンスSARUはアニメーション制作会社です。

 

ありふれた職業で世界最強 2nd season

出版社のオーバーラップが委員会幹事にきているのは珍しい気がします。一番の驚きは、虎の穴が製作に参加している点です。確かに、女性キャラを活かした商品企画は色々できそうです。アスリードはアニメーション制作会社です。

 

終末のハーレム

未来工場はグッズ製作会社です。虎の穴もそうですが、女性キャラを活かした商品企画が多くできそうな作品です。グローバルソリューションズはゲームセンター展開なども手掛けています。

 

 

錆喰いビスコ

原作がKADOKAWA電撃文庫から出ています。今期の製作委員会にちょくちょく登場するビットグルーヴプロモーションは、音響制作会社です。

 

スローループ

マンガタイムきららの原作ということで、芳文社が製作に入っています。eStreamはフィギュアの制作会社です。

 

からかい上手の高木さん

原作が小学館ということで、小学館のグループから2社が入っています。思えば、アニメーション制作会社(シンエイ動画)が幹事になるってめずらしいですね。

 

CUE!
  • 菊池貞和(ポニーキャニオン
  • 倉元大輔(リベル・エンタテインメント)  
  • 久保寺良一(リベル・エンタテインメント)
  • 丸山博雄(毎日放送)  
  • 松原勝彦(ビットグルーヴプロモーション?)

リベルエンタテイメントのゲームが原作です。A3!やアイチュウのアニメと同様に、ポニキャンが幹事となっています。

 

東京24区

アニプレックスABCアニメーションの組み合わせは少し珍らしいですね。メーテレ名古屋テレビです。ニトロプラスは、今作シナリオライターの下倉バイオさんが所属する会社です。

 

ドールズフロントライン

こちらは中国のゲームIPが原作ですので、そのゲーム開発会社とアニメメーカーであるワーナーが出資しています。

 

天才王子の赤字国家再生術

NBCユニバーサルSBクリエイティブは毎期見かける組み合わせです。レイはアニメだけに留まらずエンタメ×テクノロジーを得意としている印象です。

 

プリンセスコネクト!Re:Dive season 2

第1シーズンと変わらずのメンバーです。Cygamesはここ最近自社IPのメディアミックスに力を入れています。ゲームだけではありません。

 

その着せ替え人形は恋をする

スクエニ原作でアニプレックスが幹事です。この組み合わせもよく見ますね。

 

明日ちゃんのセーラー服

個人的には、制作会社が委員会に入らずに、BS朝日が入っているので驚きました。

 

怪人開発部の黒井津さん
  • 西出将之(ABCアニメーション
  • 後藤利一(ABCライツビジネス) 
  • 岩野貢(MAGNET) 
  • 田﨑勝也(BS11
  • 淡野正(BookLive)
  • 松岡雄浩(メ~テレ) 
  • 三上政高(CREST)

ABCが本気で製作しているアニメですね。BookLiveが製作に参加しているのを初めて見ました。CRESTはアニメプロデュース的なことも行なっていますが、今作は音楽制作としての参加です。

 

フットサルボーイズ!!!!!

RE-MAINに引き続き、バンダイナムコアーツお得意のイケメンスポーツIPです。ライブビューイングジャパンは、その名の通りイベントのライブ中継などを行う会社です。グッドスマイルカンパニーはグッズ製作会社で、すでに今作の関連商品の販売を始めていますね。

 

リーマンズクラブ

音楽関連の企業が4社も入っています。私は見ていないのでわからないのですが、音楽にスポットが当たっているのでしょうか。UNIVERSAL MUSIC JAPANの名前をアニメ製作委員会で見たのは初めてです。

 

錆色のアーマ-黎明-

原作が舞台の作品なので、舞台プロデュースを行うネルケプランにングが幹事となっています。Age Global Networksも広義のプロデュース会社と認識しています。TOYCUTEは舞台公開時のグッズを制作した会社でしょうか。イープラスはお馴染みのチケット代理販売企業ですね。フォアキャスト・コミュニケーションズはデジタルを得意とする企画会社でしょう。

 

薔薇王の葬列

MAPが幹事、秋田書店が原作担当でしょう。BNライブクリエイティブが入っていますが、舞台でも行うのでしょうか。

 

異世界美少女受肉おじさんと
  • 李旎(bilibili)    
  • Ming H.Chan(bilibili)    
  • 渡邊耕一(Cygames)    
  • 丸茂礼(テレビ東京
  • 釜秀樹(東宝)    
  • 松原勝彦(ビットグルーヴプロモーション)

「進化の実」に引き続き、blibiliが幹事のギャクアニメです。原作がサイコミということもあり、Cygamesも参加しています。個人的に不思議なのが、ブシロードが製作委員会に入っていない点です。EDクレジットにもブシロードの人がいましたのでてっきり。

 

佐々木と宮野

pixivコミック原作の作品です。KADOKAWAが書籍化しているので、幹事もとっています。U-NEXTが委員会に入っているのもレアです。

 

TVアニメ「オリエント」

エイベックスとbilibiliを同じ作品で見るのは個人的には初めてです。アニメメーカーよりも出版社が出資1位にきていますね。

 

今期の注目ポイント

①テレビ局がアニメに前向き

TBSやMBSは以前から深夜アニメに出資していましたが、今期は日本テレビ名古屋テレビも製作に参加しています。今後も、この二社を見る機会が増えてきそうです。

②海外勢の急伸

以前にもまして、bilibiliが多くの深夜アニメに出資しています。また、海外ゲームIPのアニメ化も顕著です。

③委員会メンバーの業界多様化

以前はアニメメーカーや出版社、グッズ会社などメディアミックスに関わる企業が主に出資していました。ですが、今期は音響会社や配信会社、一見アニメに関係ないような会社も参入しています。昨今のアニメ人気をなんとか異業種でも活かせないか考えているのでしょう。

【ワクワーク主催】アニメライター育成講座を受講して

私は、株式会社ワクワークが主催する第2期アニメライター育成講座に参加していました。

今回の記事では、この講座を受講するメリットや、講座を通じた自分の成長について記していきます。

※この記事は、株式会社ワクワークの依頼・支援等を受けたものではありません。私が一個人として、この講座を受講した感想を書いています。すべて本音です。

講座の概要

私が参加した第2期のライター育成講座は、2021年4月~2022年3月まで行われました。

先生について

この講座には、2種類の先生がいます。

1つ目は、現役アニメライターのいしじまえいわ先生。1年間にわたって課題の添削やアドバイスをしてくれます。

2つ目は、毎月末にあるゲスト講義の先生。毎月の課題についてフィードバックをもらえます。

講義について

講義は主に2種類あります。

1つ目は約3回に及ぶ石島先生の動画講義です。

アニメライターとして知っておくべき知識や業界の状況などを、月1回1時間程度、4月から3か月間、動画講座を通じて学びます。

アニメライターと聞いても「なにそれ?」と思う人は多いのではないでしょうか。

「アニメライターとは何か」「どうやって石島先生がライターになったか」「アニメライターの心得」「業界で仕事をするうえで知っておきたいこと」など盛りだくさんの内容です。

この動画講座でアニメライターについての基礎知識はほぼ網羅できるのではないでしょうか。

2つ目の講義は、毎月末のゲスト講師による講義です。

毎月、全くジャンルの異なるアニメライターの先生が講義をしてくれます。

そして先生がとても有名なライターさんばかりなのです。

私の場合、アニメ産業・ビジネスが好きで個人的に研究をしています。

なんと1月にはゲスト講義に増田弘道さんが来てくれました。

増田さんといえばアニメ産業レポートを執筆されるほど著名な方です。

私はちょうどそのころに増田さんの本を読んでいたので、とてもテンションが上がりました。

さて、ゲスト講義の内容については、前半1時間は先生がスライドを使って授業を行います。

内容は、仕事の内容や自身のキャリア、ゲスト講師の専門ジャンルの文章の書き方、などです。

私が一番楽しみに聞いていた部分は、それぞれの先生がどのようにアニメライターになったか、その経緯です。

アニメライターに決まったなり方はありません。10人いれば、10通りのなり方があります。

それぞれの先生がどのような経験を積んでアニメライターになったか、その先生の背景がわかるようなお話が一番楽しかったです。

受講生は大学生が多いので、自身のキャリアを考える上でも大変有意義なお話だったと思います。

後半30分は、ゲスト講師のフィードバックの時間です。

私たちが書いた課題をゲスト講師の方が見て、私たち一人一人にコメント・フィードバックをしてくれます。

後述しますが、一度私たちが書いた課題は石島先生がフィードバックをしてくれます。

そして、フィードバックを受けて修正した課題をゲスト講師の先生に見てもらいます。

毎回、ゲスト講師の先生は石島先生とは異なった視点でアドバイスをくれるので、様々な見方を養うことができます。

ゲスト講師の講座は1時間半という設定ですが、毎回オーバーしてしまうほど大変白熱(?)した時間となります。

 

課題について

まず、月初めに課題が提示されます。

約1週間後の締め切りまでに課題を完成させ、講師の石島先生に提出します。

そして提出後1週間を目処に、石島先生からフィードバックをいただきます。

フィードバックには2つのパートがあります。

1つ目は、受講生全体に対するコメントです。

受講生がつまづきやすい点や質問があった箇所など、全体に共有されるフィードバックです。

2つ目は、個々人に対するコメントです。

一人一人の課題をしっかり読んでくださり、先生が気になった部分や改善点などを教えてくれます。

特筆すべきは、そのアドバイスの細かさです。

課題の中で先生が気になる部分について、「なぜその部分が気になる(ダメ)なのか」「そのままだと読者にどのような印象を与えるか」「どのように改善すればよいか」などを非常に細かく指摘してくれます。

そのため、「気になる部分」どのように修正すればよいか方向性がはっきり見えてくるのです。

この細かいアドバイスが毎回3~4か所あるので、先生から来るフィードバックの文章がかなり長いです。笑

でもこれは凄くありがたいことで、アドバイスが丁寧な分、修正がやりやすくなります。

石島先生からのフィードバックを読んでいて「なんで?」と思うことはありません。

なぜなら、その疑問を想定して石島先生が細かくアドバイスを書いてくれるからです。

ちなみに、ちょっとした受講生の質問にも、石島先生は丁寧に文章で回答してくれます。

すごく短文の質問に対しても、「なぜそのような質問が生まれたか」という質問に至った経緯を想定してくれ、それに対する回答を長文で書いてくれます。

さらに、質問の回答に加えてプラスアルファの情報をくれることもあり、質問に対する満足感・解決感(?)がとても高いです。質問してよかった、と毎回思いました。

さて、石島先生のフィードバックを受けて課題を修正したあとは、月末の講義でゲスト講師の先生にコメントをもらいます。

課題の内容は、Webサイトに投稿するアニメ紹介記事、プレスリリース、パンフレット、アニメ批評など多岐にわたります。

その道のプロのゲスト講師から毎回コメントをもらえるので、大変有意義な時間となります。

また、課題は毎回ジャンルが異なるので、事前に該当分野の記事を調べたりして書き方を掴みます。

そうしないと、どのようなスタイルで文章を書けばよいかわからないからです。

そして、月末のゲスト講座でその分野の書き方を学びます。

言い換えると、「自分で調べて書く」→「講師から書き方を教わる」という順番なのですが、普通は逆だと思いませんか?

私もそう思いましたが、今となってはこの順番のおかげで力をつけることができたと思います。

なぜなら、はじめは何もわからない状態で、時間をかけてそれぞれの分野の記事を調べるからです。

その過程で、多くの記事を読むことになります。

より多くの文章に触れることで、その分野のスタイルを感じ取ることができるのです。

ここまで、課題を概要を述べてきました。

ちなみに、最後の3か月間はじっくり時間をかけて10000字程度、自分の書きたいことを思う存分書きます。

講座で学んだことを活かして自分の書きたいことを書けるので、しんどいけど楽しい時間です。

私の成長

私はこの講座を通じて、ライターとして格段にレベルアップしました。

どのような点が変わったかというと、記事の目的を常に意識するようになりました。

これは講座でも習うことなのですが、記事を書き始める前には「起こしたい読者の行動」「起こしたい読者の反応」を予め考えるべきなのです。

簡単に言うと、「この記事を読んだ読者が、どのように行動するか (例:Webサイトのリンクに飛ぶ)」を想定してから記事を書くべきなのです。

私は講座を受講する前から個人ブログを書いたりライターの仕事をしたりしていましたが、目的を意識してから書くいうことはあまりできていなかったと思います。

ですが、この講座を受けてからは、「何のためにこの記事を書くのか」を考えてから手を動かすようになりました。

これが、私の中での成長なのだと思います。

最後に

ここまで、講座の基本的な内容をお伝えしました。

はっきりいって、この講座は決して楽ではありません。

毎月課題に取り組む必要があり、事前の調べ物も必要です。

講座はしんどいですが、その分サポートが充実しています。

分からないこと、困ったことがあれば、いつでも先生に相談してください。

適切なアドバイスをくれるほか、臨機応変に対応してくれます。

講座は全てオンラインで受講しましたが、まったく不便な点はありませんでした。

課題提出についてもテキストベースのフィードバックがとても丁寧なので、分からないことはすべて解決できます。

もし困ったことが、ぜひオンラインミーティングを希望してみてください。

すぐに日程を用意して、親身になって話を聞いてくれるでしょう。

この講座の価格は、決して安いものではありません(私の時は、6桁かかりました)。

ですが、講座をひととおり受けた今、この金額は安すぎないか!?と感じています。

超豪華なゲスト講師陣、石島先生の丁寧なアドバイス・サポートを1年間受けられることを考えると、安すぎる価格に見合わないクオリティです。

一言でいえば、コストパフォーマンスが良すぎます。笑

唯一惜しかったと思う点は、受講生同士(計4人)が交流する場所が少ないことですかね。

講座が始まる前と開始半年後ぐらいにオンライン交流会がありましたが、もう少しみなさんとお話してみたかったな、と思います。

この講座は完全オンラインで受講できるので、日本全国から講座を受講できます。

みなさんも、アニメが好きで、文章を書くことが好きな人は、ぜひ受講を考えてみてください!

 

 

↓↓私が書いた記事↓↓

kaz-foc.hatenablog.jp

kaz-foc.hatenablog.jp